山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

ウイルスの変異

次々に変異する新型コロナウイルス

ウイルスが増殖するときも、私たちの体の細胞が分裂する時も、遺伝子が設計図となり同じウイルスや細胞が作られます。しかし自然も完璧ではありません。ウイルスが増殖するたびに、そして私たちの体の細胞が分裂するたびに、少しづつ間違い、すなわち遺伝子の変異が起こります。ほとんどの変異はウイルスや細胞の機能に影響を及ぼしません。しかしごくまれに、機能が変わることがあります。私たちの体でこれが起こると、様々な病気につながることがあります。典型例が癌です。新型コロナウイルスが出現して1年以上たちましたが、当初のウイルスと比べて、感染力や病原性が増加していると思われるウイルス株が複数、誕生しています。よく知られているものとして、イギリスから広がったアルファ変異(B.1.1.7)、南アフリカから広がったベータ変異(B.1.351)、ブラジルから広がったガンマ変異(P1)、そしてインドから広がったデルタ変異(B.1.617.2)があります。
インフルエンザウイルスやコロナウイルスの遺伝子解析を行うGISAID - Initiativeは、これらの変異型ウイルスの世界的な動向を常時公表しています(図)。

これによると、全世界でデルタ変異が感染の主体になっていることがわかります。イギリスでは新規感染の大多数がデルタ型です。オセアニア、アフリカ、アジア、イギリス以外のヨーロッパ、そしえ北米でもデルタ変異が50%を超えています。ガンマ変異が主体であった南米でも、デルタ変異が増加傾向にあります。

日本でも感染の主体がデルタ変異に移りつつあります。東京都では、デルタ変異株の割合が20%を超えています。大阪や京都でも、デルタ変異株が検出されています。アルファ変異はまず最初に大阪や京都で増加しましたが、デルタ変異は多くの地域で増えています。

図 デルタ変異ウイルスの世界における経時的変化
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