山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

ワクチンの改良

日米で異なるオミクロン対応ワクチン(2022年9月6日)

日本とアメリカの両方で、オミクロン対応型のワクチン(ファイザー社およびモデルな社製)が始まろうとしています。これまでは、両社のワクチンは世界中で同じものが使われていましたが、オミクロン対応型はそうでは無いようです。
FDAの発表によると、アメリカで使用されるオミクロン対応ワクチンは従来型ウイルスの情報とBA4/5株の情報の両方を組み込んだワクチンです。2種類のウイルスの情報を持つことから2価ワクチンと呼ばれます。両社は従来型ウイルスとBA.1株の情報を組み込んだ2価ワクチンで臨床試験を行いFDAに提出しましたが、BA.4/5株が急激に拡大し主流となったため、BA.4/5株の情報の変更するように推奨され、BA.4/5対応の2価ウイルスを製造しました。こちらがアメリカでは今後のブースターとして用いられます。
一方、厚労省の報告によると、日本ではすぐに入手可能なBA.1株対応の2価ウイルスが用いられます。
ブースターとしては、従来のワクチンを用いても重症化予防効果が示されていますが、オミクロン対応ワクチンを用いることによりさらに高い効果が期待されます。BA.4/5対応2価ウイルスが、BA.1対応のものよりどれくらい効果があるかは、今後の解析を待つ必要があります。ファイザー社がFDAに提出したマウスのデータによると、BA1対応の2価ワクチンは、BA1株に対しては強い中和抗体を誘導していますが、BA.4/5株に対対しては6分の1くらいに効果が減弱しています(図)右のBNT162b2Bivalentとあるのが、日本で用いられる予定のBA.1対応2価ワクチンです。
図 BA1対応ワクチンの従来ワクチンの比較

秋の追加接種はBA.5対応ワクチン?

アメリカでワクチン等、医薬品の審査をする食品医薬局(FDA)は、6月30日の専門家による会合において、ファイザーとモデルナの2社に対して、同社が開発中のオミクロン株(BA.1株)対応ワクチンに、BA.4株やBA.5株で認められる変異に対する対応も追加するように推奨しました。
これは同28日のFDAアドバイザー会議に両社から提出された臨床データ(ファイザー社データモデルナ社データ)に基づいた議論の結果です。

我が国においても、厚生労働省は、秋の追加接種についてオミクロン対応ワクチンを検討するよう、7月22日開催された専門家によるワクチン分科会諮問しています。

一方、FDAの専門家会合では異論もあったようです。主な反対意見は、オミクロン対応の効果が小さいことや、秋にはBA.5以外の株が主体となる可能性が高いことであったようです。
これまでの主な変異株を振り返ると、デルタ型は、アルファ型やオミクロン型とはかなり離れています(図)。秋に主体となるウイルスがオミクロン型から派生するものか、デルタ型等の別のものかは、現時点での予測は難しいです。

図の出典
CoVariants: Variants
Nextstrain / ncov / gisaid / asia / 6m
図 各変異株のファミリーツリー
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