山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

効果は

1回接種のみでも高い効果(イスラエルからの報告 Lancet誌 2021年2月19日)

Amit et al., Early rate reductions of SARS-CoV-2 infection and COVID-19 in BNT162b2 vaccine recipients. Lancet 219日オンライン
Lancet誌
(内容)
イスラエル最大の医療機関、シェーバ メディカルセンターからの報告。同病院には9647人の医療従事者がいるが、1219日よりファイザー社製のワクチン接種を開始した。接種対象となる9109名中、124日までに7214名(79%)が1回目の接種を、6037名(66%)が2回目の接種を受けた。このうち5505名(91%)は1回目接種後、21から22日後に2回目接種を受けた。
昨年1219日から本年124日までの間に、170名の医療従事者において新型コロナウイルの感染がPCRで確認された(検査陽性者)。このうち99名(58%)は発症しCovid-19感染症と判定された。検査陽性170名のうち感染源が判明したのは125名であり、87名(70%)は市中での感染であり、院内でのクラスター発生はなかった。
170
名の検査陽性者のうち、89名(52%)はワクチン未接種、78名(46%)は1回接種後、3名(2%)は2回接種後であった。
観察期間内の延べ人数当たり(1万人・日)のPCR陽性数は、非接種群で7.41回目接種後1から14日は5.51回目接種後15から28日は3.0であった。非接種群と比較した減少率(感染機会のあった日数で補正)はそれぞれ、30%95%信頼区間2-50%)と75%(同72-84%)であった。
観察期間内の延べ人数当たり(1万人・日)の発症数は、非接種群で5.01回目接種後1から14日は2.81回目接種後15から28日は1.2であった。非接種群と比較した減少率はそれぞれ、47%95%信頼区間17-66%)と85%(同71-92%)であった。
(本調査の限界)
PCR
検査は有症状者と感染者との濃厚接触者にのみ行っており、無症状の感染者を見逃している可能性がある。医療従事者のみが対象であり、一般人への拡大解釈には注意が必要である。2回接種後の日数が浅いため、2回接種との比較はできていない。
(考察)
昨年12月にNew England Journal of Medicineに発表された大規模臨床試験の結果では、2回接種の有効率は95%であるのに対して、1回接種のみでは50%と報告されている。
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine | NEJM
しかし、この解釈には1回目接種直後の感染例も含まれている。ワクチン接種後に免疫が獲得されるまでは10日程度かかると考えられる。データを見ると1回目接種後10日目以降は、感染者の発生は抑えられているように見える(図1)。
イギリス公衆衛生局は、1回目接種後の14日後から2回目接種を行う21日後までや、2回目接種を21日目に行った場合でもその効果が出現しないと考えられる28日までのデータを見ると、1回接種であっても90%程度の有効性が示されているとしている。
イギリス公衆衛生局の報告
(山中のコメント)
1
回接種のみであっても、かなりの有効性は期待できそう。より多くの国民にワクチンを届けるためには、1回のみの接種も検討の余地がある。また発熱、倦怠感、頭痛、悪寒といった副反応は、1回目接種後の方が頻度も少なく程度も軽いと報告されている(図2)。
しかし効果の継続期間が1回接種と2回接種で同じかは今後の研究が必要である。
またワクチンを接種しても、2週間程度は免疫が獲得されないこと、また免疫が獲得された後も無症状のまま感染し、他人への感染源となりうる可能性があることは、国民に広く周知するべきである。

図1 1回接種後の感染率推移
図2 1回目と2回目接種後の副反応
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