ファイザー社製のmRNAワクチンについて、厚生労働省が行った副反応などの調査報告(ワクチン接種を行った約2万人の観察研究)が5月26日にアップデートされました。またアメリカCDCがファイザー社製とモデルナ社製のmRNAワクチンの副反応について論文(査読後)を発表しました。
厚労省の
アップデート(5月26日)によると、発熱、倦怠感、頭痛などの全身反応は、高齢者の方が若年者より頻度が少ないと報告されています。例えば、2回目接種後の37.5℃以上の発熱は、20歳代では約50%に報告されているのに対して、50歳代は約30%、70歳代では約10%と減少しています(図1)。2回目接種後の全身倦怠感は、20歳代では約80%に、70歳代では約30%に認められています(図2)。
厚労省の最初の発表(3月26日)
000759518.pdf (mhlw.go.jp)によると、37.5℃以上の発熱は1回目接種後は3.3%に、2回目接種後は35.6%に発生しています。2回目接種後に37.5℃以上の発熱した人のうち、半数強は38.0℃以上の発熱でした。倦怠感と頭痛は、1回目接種後は23.2%と21.2%に、2回目接種後は、67.3%と49.0%に認められています。
一方、接種部位の疼痛は1回目、2回目とも約90%に、接種部位の発赤や腫脹は、1回目、2回目ともに約10%に認められました。
単純比較はできませんが、2009年の新型インフルエンザに対する不活化ワクチン(1回接種のみ)の同様の研究では、発熱、倦怠感、頭痛は、それぞれ3.1%、19.0%、14.1%に認められていました。
今回の日本の結果は、海外からの報告と同じ傾向で、発熱、悪寒、倦怠感、頭痛などは2回目接種後の方が、そして若年者の方が、それぞれ発生頻度が高いことが報告されています。
実際に接種を開始したアメリカで、約166万人の被接種者における副反応をまとめたCDCの論文
Reactogenicity Following Receipt of mRNA-Based COVID-19 Vaccines | Vaccination | JAMA | JAMA Networkによると、副反応は接種の翌日に最も頻度が多く、1回目接種においては、接種部位の疼痛が約65%、倦怠感、頭痛、筋肉痛が約20%に、悪寒や発熱が約7%に報告されています。2回目接種においては、接種部位の疼痛は約65%に、倦怠感、頭痛、筋肉痛が約40%に、悪寒や発熱が約20%に報告されています。65歳以上と65歳未満を比べると、65歳以上の方がいずれの副反応の発生頻度も低かったと報告しています。
臨床試験の結果
(New England Journal of Medicine誌の査読後論文)によると、接種部位の疼痛が66~83%に、倦怠感が34~59%に、頭痛が25~52%に、筋肉痛が14~37%に、関節痛が9~22%に、悪寒が6~35%に、発熱が1~16%に報告されています。年齢でみると55歳以下が56歳以上より、接種回数で見ると2回目が1回目より、それぞれ副反応の頻度が高い傾向にありました。