山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

変異ウイルスの影響は?

変異型ウイルスに対する効果

イギリスから広がったアルファ型変異株(B.1.1.7)ウイルスが日本でも猛威をふるっていますが、幸い、ファイザー社製のmRNAワクチンは、アルファ型変異株に対しても従来型と同程度の高い効果があることが、イギリスやイスラエルから査読後の論文として報告されています。
ワクチンの有効性 (covid19-yamanaka.com)

日本でも拡大が懸念されているインドで最初に広がったデルタ型の変異株ついて、スコットランドにおける実社会での結果がLancet誌に6月14日に報告されました。それによるとファイザー社製ワクチンの2回接種のデルタ型に対する感染抑制効果は79%と、アルファ型に対する92%の効果と比べると少し低いものの、依然として高い効果があることが報告されています。
またイングランド公衆衛生庁も6月14日に査読前のデータを公表しています。これによると、ファイザー社製のワクチンは、デルタ型変異ウイルスによる入院を、2回接種後は96%、1回接種でも94%、減少させたとしています。また、同庁は5月22日にもデータ(査読無し)を公表しています。これは、昨年10月から今年5月までに同国でアルファ型変異への感染が確認された11612人と、デルタ型変異(B.1.617.2)への感染が確認された1054人を解析したもので、ファイザー社製ワクチン2回接種の発症予防効果がアルファ型変異に対しては93.4%であったのに対して、デルタ型変異に対しては87.9%であったと報告しています。
一方、1回接種のみの効果は、イギリス型とインド型に対して、それぞれ51.1%と33.5%でした。インド型に対する対策としては、2回接種を行うことが重要であることが示唆されています。

実験室でのデータとしては6月3日にLancet誌に公開されました。それによると、ファイザー社製のワクチンを2回接種した人における中和抗体(ウイルスの感染を抑える抗体)の量は、従来型のウイルスに比べるとアルファ型に対しては2.6分の1に低下、デルタ型に対しては、5.8分の1になっています。また従来型ウイルスに対しては1回接種でも多くの人で十分な量の中和抗体が出来るが、デルタ型に対しては2回接種が必要なことを示唆しています。

南アフリカから広がったベータ型変異に関しては、5月5日にはカタールから重要な論文が報告されました。
Effectiveness of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine against the B.1.1.7 and B.1.351 Variants | NEJM
同国では、イギリス型に加え、南アフリカ型(B.1.351)変異ウイルスも拡大しています。ファイザー社製のmRNAワクチンの効果を調べたところ、イギリス型変異に対しては、他の報告と同様に高い効果(2回目接種2週以降で89.5%)が見られていますが、南アフリカ型に対しては、75%と低下していました。これは後述する試験管内での実験結果と一致しています。一方、重症化を防ぐ効果は、変異の種類に関わらず97.4%と非常に高い効果が報告されています

査読前のデータとしてはファイザー社からの公表データがあります。
4月1日のプレスリリース
3月11日のプレスリリース
によると、アルファ型やベータ型の変異が蔓延した、イスラエルと南アフリカにおける臨床試験結果の解析から、これらの変異型ウイルスに対しても高い感染予防効果が示されています。またワクチンの効果が、接種後6カ月においても続いているとしています。しかし、ワクチンを開発・販売している企業からの報告であり、他の研究者による検証(査読)は受けていませんので、独立した検証が必要です。

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