山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

ワクチンの有効性は?

ワクチンはどれくらい有効でしょうか?

ファイザー製のワクチンはイギリス型変異を含む新型コロナウイルス感染に対して高い効果があることを示す報告が複数なされています。同ワクチンは2回接種が基本ですが、1回接種のみでも、発症だけでなく、感染そのものも70~80%程度以上予防するという結果がイスラエル、イギリス、アメリカから相次いで報告されています。南アフリカ型やブラジル型の変異株に対しては実際の人での効果はまだ報告されていません。

最新の報告はアメリカ疾病対策センター(CDC)の報告です。
CDC Real-World Study Confirms Protective Benefits of mRNA COVID-19 Vaccines | CDC Online Newsroom | CDC
昨年12月14日から今年3月13日までにファイザー社製、またはモデルナ社製のmRNAワクチンを接種した3950名について、毎週PCR検査を行っています。その結果、1回接種により感染を80%、2回接種により90%抑制したと報告しています。1回目も2回目もワクチン接種後に効果が出るまでは2週間程度必要としています。被検者全員に毎週PCR検査していますので、無症候感染も検出しています。1回接種のみでも、感染を80%抑制する高い効果が示されています。

世界的に有名なアメリカの病院であるメイヨークリニックも、同様の結果を査読後の論文として報告しています(3月10日)。
Impact of the COVID-19 Vaccine on Asymptomatic Infection Among Patients Undergoing Pre-Procedural COVID-19 Molecular Screening | Clinical Infectious Diseases | Oxford Academic (oup.com)
同病院では、全身麻酔が必要な外科手術など、特定の治療を受ける患者の全員に対して、症状の有無に関わらずPCR検査を行っています。4万件以上の検査の陽性率をmRNAワクチン(ファイザー社製およびモデルナ社製)接種者と非接種者で比較しました。その結果、1回目接種後10日目以降で79%、2回目接種当日以降では80%、PCR陽性の発生率が低下したとのことです。2回目接種の効果は、2回目接種後1週間程度以降に出現すると考えられますので、抑制効果は80%より高い可能性が考えられます。mRNAワクチンは、感染そのものを80%以上、抑制することを示唆しています。

ファイザー社は、3月11日にイスラエルで得られたデータを公開しています。
Pfizer Inc. - Real-World Evidence Confirms High Effectiveness of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine and Profound Public Health Impact of Vaccination One Year After Pandemic Declared
同社ワクチンの接種が世界最速で進むイスラエルからの報告で、2回目接種して7日目以降の人と、年齢や性別をマッチしたワクチン接種をしていない人と比較すると、無症候性の感染を94%、有症状の感染を97%以上抑制したとしています。別の言い方で、ワクチンを接種していない人では、新型コロナウイルスに感染し発症する確率が44倍、死亡する確率が29倍高いとしています。調査期間(1月17日から3月6日)において同国で同定されたウイルスの80%以上がイギリス型変異(B.1.1.7)であったとしています。詳細なデータは報告されておらず、他の研究者による検証(査読)も受けていません。今後のさらなら解析と検証が求められますが、同社のワクチンがイギリス型変異にも高い効果があることが示唆される実社会(Real world)におけるデータです。

これ以外にも、人での有効性を報告した査読付きの論文は複数あります。
一つ目は、臨床試験の結果の報告です。
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine | NEJM
この報告によると、ファイザー社製ワクチンを2回接種して1週間以降に新型コロナウイルス感染症を発症したのは、18198名中8名であったのに対して、ワクチン非接種群においては、17511名中162名でした。ワクチン2回接種により、発症した人の数は20分の1に減少しました。すなわち、有効率は95%でした。

2つ目と3つ目の論文は、世界で最もワクチン接種が進んでいるイスラエルからの報告です。
2つ目は2月19日にLancet誌に報告された論文です。
Early rate reductions of SARS-CoV-2 infection and COVID-19 in BNT162b2 vaccine recipients - The Lancet
ワクチン接種を行った病院職員約7000名の追跡調査から、1回のみの接種であっても、接種後15から28日目において、新型コロナウイルスの感染が75%、発症が85%減少したと報告しています。

3つ目は2月24日にNew England Journal of Medicine誌に報告された論文です。
BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting | NEJM
イスラエルの最大の医療保険グループであるClalit Health Servicesは、国民の53%にあたる470万人が加入しています。加入者のうちファイザー社製のワクチン2回接種を完了した約60万人の一人一人について、年齢、性別、人種、居住地などをマッチさせた非接種者をコントロールとして選び、新型コロナウイルスの陽性者、発症者、入院数、重症者数、死亡者数を比較しました。2回接種後7日目以降の比較では、陽性者数、発症者数、入院者数、重症者数が、ワクチン接種群ではコントロール群に比べて、それぞれ92、94、87、92%低下しています。また1回目接種後14から21日目において、死者数は72%低下しています。

被験者全員に対してPCR検査を2週間に一度、行った調査としては、査読前の報告ではありますが、イギリス公衆衛生局からの報告もあります。
SIREN Study
この報告によると、1回接種の21日後において、ファイザー社製ワクチンの有効率は72%、2回接種の7日後においては86%であったとしています。
査読前の報告であり、さらなる検証が必要ですが、1回接種でも、感染を70%以上抑制できる可能性が示されています。

入院数に対する効果に関しては、スコットランドから査読前の論文が公表されています。
scotland_firstvaccinedata_preprint.pdf
これによると、ファイザー社製のワクチンを1回接種した場合、ワクチン接種後28から34日目において、新型コロナウイルス感染症での入院が85%減少したと報告されています。
アストラゼネカ社のワクチンでは94%の減少効果があったとのことです。
査読前の論文ですので、さらなる検証が必要です。

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