山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

モデルナ社製ワクチンの有効性

モデルナ社製mRNAワクチンの有効性

モデルナ社製ワクチンはファイザー社製と同様にmRNAワクチンです。アメリカを中心に接種が広がり、感染や発症を予防する効果が報告されています。イギリス型変異に対しても有効であることを示す複数の論文が公表されています。南アフリカ型やブラジル型変異株に対しては効果が減弱する可能性が報告されており、さらなる解析が必要です。

実社会の効果は接種が進むアメリカから報告されています。同国では、ファイザー社製mRNAワクチンが先行していることから、ファイザー社製とモデルナ社製のmRNAワクチンを一まとめにした報告が中心です。

6月30日には、mRNAワクチンが感染を90%程度予防するとともに、感染した場合でも、ウイルス量が少なく、症状も軽くなるという論文が、New England Journal of Medicineに発表されました。アメリカの6つの州で、医療従事者、救急隊、その他のエッセンシャルワーカーを対象に行われた調査結果。対象は3975名で、そのうち約80%3179名が410日までにワクチンを1回以上接種し、その中の約84%2686名は2回接種を完了しました。67%はファイザー社製、33%がモデルナ社製、1%はどちらかは不明でした。参加者全員が毎週1PCRテストを受け、また咳、発熱等の症状の有無も毎週報告しました。新型コロナ様の症状が現れた場合、被検者は症状の開始日と終了日など、詳細な経緯を報告しました。
 PCRで陽性となったのは204名(約5%)でした。このうち2回接種して14日以上経過していたのは5名、1回目接種後2週間以上で2回目接種後14日未満が11名、ワクチン未接種が156名でした。32名は1回目接種後14日未満に陽性となり、本解析からは除外されました。ワクチン接種の効果は、2回接種は91%1回接種では81%でした。PCR陽性者をワクチン接種群と非接種群で比較すると、ワクチン接種により、PCRで検出されるウイルスRNA量は約40%減少しました。38℃以上の発熱した割合は58%低下しました。症状の継続期間もワクチン接種により平均2.3日、短縮されました。

世界的に有名なアメリカの病院であるメイヨークリニックからも論文が3月10日に公表されています。同病院では、全身麻酔が必要な外科手術など、特定の治療を受ける患者の全員に対して、症状の有無に関わらずPCR検査を行っています。4万件以上の検査の陽性率をmRNAワクチン(ファイザー社製およびモデルナ社製)接種者と非接種者で比較しました。その結果、1回目接種後10日目以降で79%、2回目接種当日以降では80%、PCR陽性の発生率が低下したとのことです。2回目接種の効果は、2回目接種後1週間程度以降に出現すると考えられますので、抑制効果は80%より高い可能性が考えられます。mRNAワクチンは、感染そのものを80%以上、抑制することを示唆しています。

臨床試験の結果では
Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine | NEJM
約3万人の被験者をワクチン接種群と非接種群に分け、新型コロナウイルスの発症を見ていますが、ワクチン接種により94%の発症予防効果が報告されています。

変異型ウイルスに対する効果については実験室内での結果が報告されています。
Neutralizing Antibodies Against SARS-CoV-2 Variants After Infection and Vaccination | Infectious Diseases | JAMA | JAMA Network
によると、モデルナ社製のワクチンを接種した人の血清中和活性(ウイルス感染を防ぐ力)は、感染して回復した人よりも強く、イギリス型変異株に対しても、従来のウイルスと同程度の効果が報告されています。

別の論文
Serum Neutralizing Activity Elicited by mRNA-1273 Vaccine | NEJM
では、ワクチン接種者の血清中和活性は、イギリス型変異株に対しては低下しないが、南アフリカ型、ブラジル型、そしてイギリス型にE484K変異が加わったウイルスに対しては、数分の1に低下する可能性が示唆されています。この程度の低下が、実際の人での感染にどれくらい影響するかは、今後の解析が待たれます。

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